マダムからの一言
自分が若いころ建設現場で、働いていた時に、お施主様の奥様から言われた一言が今も自分の頭の中に鮮明に残っています。
いまでも忘れられない一言になります。
奥様は何の気にもしないで言われたのでしょうが、自分にとっては、一生忘れることが出来ない言葉になっていますからね。
些細な一言が意識を変えることになりました。
何を言われたかが気になりますが、普通の人ならそんなに気にならないことになるのでしょう。
大きな家のリフォーム工事をしていた時に、洗面化粧台を取り付けしていました。
取り付けした少し後に現場に来られて、洗面化粧台をチェックされて三面鏡がついているサイドの開きが、本当は内に開かないと三面鏡として機能を果たさないのが、収納の扉が外に開くように施工していました。
自分の思い込みで間違った施工をしてしまっていました。
で言われた一言が
「やっぱり男の人やね~」
「どうされたんですか??」
「三面鏡開き勝手が反対よ~」
「えっ!!本当ですか??」
「男の人は三面鏡なんてつかわないでしょ」
三面鏡の使い方を理解していなくて、収納の使い勝手だけで取り付けてしまったからです。
使う人の立場に立っていればそんなことは無かったのでしょうし、もっと勉強をしなくては、ただ取り付けるだけの仕事では、ダメだと痛感致しました。
今でもふとした時に思い出す一言になります。
その日から、暮らす人が使いやすく、便利なように考えることになりました。自分目線ではなくて使う人の目線からのほうが、重要であることを知りました。
使う人の立場で考えないと、自分の思い込みでは使い勝手が悪くなることを身を持って体験したからです。
この一言が無かったら、暮らす人のことを考えてのプランをしないままに突き進んでいたのかもしれません。
現場での苦い思い出が今の自分を戒めてくれることになっています。
暮らしてみていい家を造りたいという思いは腕もさることながら、プランが全てになるように感じるからです。暮らす人がもっと楽して暮らせる家を造りたいということに、重きをおくことになりました。
いつもプランをして家が完成した後にでも、もっとこうしたほうが良かったのか??といろいろと考え直すこともあります。
30年も前に言われてマダムの一言がいまだに脳裏に残っているからです。